欅から櫻へ

全く持って今更な話だが、私がこれまで唯一ファンになったアイドルグループ、欅坂46(現:櫻坂46)について書こうと思う。

 

最初に断っておくと、私は彼女たちの熱狂的なファンではない。

ライブに行ったことはないし、日曜深夜の冠番組を毎週観ている訳でもない。ドキュメンタリー映画も観ていない。

強いて言うなら、メンバー全員の顔と名前が一致していて、大体どんなキャラの子なのかも理解していて、一度握手会に行ったことがある程度だ。ちなみに握手したのは、既に卒業した米谷奈々未だ。

世間一般でいえば十分ファンかもしれないが、決してオタクではないということは、あらかじめ断っておきたい。

 

 

欅坂46と言えば、デビュー曲の『サイレントマジョリティー』や紅白歌合戦で伝説的パフォーマンスを魅せた『不協和音』など、メッセージ性の強い楽曲が特徴だ。

その中心に位置したのは当時最年少のメンバーである平手友梨奈で、彼女は2020年初に突如としてグループからの脱退を宣言した。

その後、欅坂46は2020年10月のラストライブを持って活動を終了し、櫻坂46として新しいスタートを切った。

 

2016年に乃木坂46の妹分としてデビューし、デビュー曲が大ヒット。そのまま紅白歌合戦に出場。その後もCDはヒットを記録し、東京ドームでライブを行うまでになった。

輝かしい功績の部分だけを見ると順風満帆のように見えるが、裏では誹謗中傷や握手会での傷害事件に見舞われた。メンバー内の不祥事や不仲説など、あることないこと色々書かれ、センターであった平手にばかり注目が当たる一方でそれに対する風当たりも強かった。

そして平手が抜けたことにより、グループの方向性を保てないと判断したのか運営が改名を選択。

個人的には、「大人と世間に振り回され続けたグループ」だと思う。

 

 

だからこそというか、そういった困難を乗り越えた点が、欅坂46、そしてその遺伝子を汲んだ櫻坂46というグループの魅力だと思っている。

正直に言って、彼女たちよりもダンスも歌も上のグループは沢山ある。例えばハロプロでんぱ組.incなんかは絶対に上手い。

でも、それでも彼女たちが世間的認知度を得て多くの非アイドルファンの心を掴んだのは、そういった困難に立ち向かい、受け止めた上で、全身全霊で楽曲を届けようとする姿勢にあると思う。

 

彼女たちのライブを観ていると、ほとんど顔が見えない。

もちろん見える楽曲もあるのだが、全力でダンスをしてパフォーマンスをする結果そうなっているケースが多い。

そこには、楽曲を届けるという想いと、見えない壁に負けないという意思と、ステージに立っているという覚悟を感じる。

 

 

人が人の心を動かすのは、論理的な説明をした時でも、キレイで完璧な姿を見せた時でもない。

傷つきながら、欠けていながらも必死に何かを伝えようとする姿を見せた時だ。

それでいうと、彼女たちほど傷つき、欠けたものを補い合いながら前進しているグループはない。

その姿にこそ、多くの人が心を動かされたのではないかと思う。

そして私も、間違いなくその一人だ。

だから私は、これからも少し離れた場所から、彼女たちの歩みを見守ろうと思っている。