【読書記録】世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?/山口周
正解のない時代、頼りになるのは自らの美意識である。
著者紹介
山口周
経営コンサル、パブリックスピーカーなど幅広く活躍
大学では哲学、大学院では美術史を専攻
卒業後は電通や外資系コンサルティングファームを経て組織開発などに従事
山口周(@shu_yamaguchi)さん / Twitter
概要
これからの社会は、正解がなく不確実性が高いVUCA(Volatile, Uncertain, Complex, Ambiguious)な状態になっていく。そのような中では、論理的思考だけでは変化のスピードについていくことができず、差別化もできない。拠り所となるのは、自らの持つ美意識である。
グローバルビジネスで活躍するエリートは、論理的思考やビジネススキルだけでなく、美術や哲学なども学び、日々美意識の醸成に励んでいる。
一方の日本人は、とかく論理的思考や正解にこだわりを持つ。今一度、絵画を見たり哲学を学んだりして、美意識を養うことが求められる。
感想
言わんとすることは分かるし、その通りだと思う。
でも、なんかフワッとしている。「よし!じゃあ美意識を高めよう!」とはなりにくい。そんな印象。
確かに世の中はVUCAになっている。論理的に正解を導いても、既に状況が変わっていたり、あるいは法的な整備が済んでいないケースも存在する。
そんな時に、何を成すべきか、どの選択肢を選ぶべきかは、自分の信念というか、美意識が拠り所になるだろう。
これは武士道や騎士道、あるいは仏教にも通ずる。原始仏教では、仏陀が無くなる際に「法を拠り所にせよ」と言ったらしい。これもまさに美意識の一つだ。
でも、じゃあそれはもっと具体的に言うと何なのか。山口さんはどんな美意識を持ているのか。どうやって鍛えるのか。
鍛え方については、哲学を学ぼう、絵画を見よう、認知を変えようとあるが、どれもピンとこない。
というかそもそも、「世界ののエリート」って誰?
なんかその辺がフワッとしているので、言っていることは分かるしそうだね、とも思うのだが、「だからどうしよう」になかなか落ちない感覚。
とはいえ、個人的には仏教の考えを生活にインストールしようとか、自分なりの哲学みたいなものを作りたいと思っている人間なので、同じ方向を向いている人がいて嬉しいという感覚はある。
正直あまり読んでも得るものはないというか、フーンで終わってしまう人が多い気もする一冊。
ピックアップ
現在のように変化の速い世界においては、ルールの整備はシステムの変化に引きずられる形で、後追いでなされることになります。そのような世界において、クオリティの高い意思決定を継続的にするためには、明文化されたルールや法律だけを拠り所にするのではなく、内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」が求められることになります。