緩くいこうぜ、人生長いんだ。

30代、適当に生きようぜ。

その子の気持ち

先日、子供とおもちゃ屋さんに行った。そこにはトミカで遊べるコーナーがあって、うちの子供も良く遊んでいる。

その日も同様にトミカで遊んでいると、おそらく6歳くらいの男の子が隣に座った。その子は目の前のおもちゃで遊ぶと、何も言わずに息子の持っていたトミカを奪い去った。まだ3歳の息子は当然悲しい声を上げるが、その子はお構いなしに遊ぶ。さすがに話の通じる年齢と思った私は、「君」と声をかけた。しかし、それも無視。ずっと目の前のトミカで遊んでいた。

すると、隣から4歳くらいの女の子がやってきた。その子は、「〇〇君ダメでしょ!どれ取ったの?返してあげて!」と男の子からトミカを奪い、「ごめんね」と言いながら息子に返してくれた。その後もその子は、「それはダメ」とか「〇〇君トイレ大丈夫?」とまるで母親のように男の子に接してた。

異様な光景に驚いていると、女性が隣にやってきて、「すみません、この子自閉症なんです」と説明してくれた。なるほど合点がいった。私はそうですかとだけ答えた。息子は男の子の存在が気になり、安心して遊べないと判断したのか、途中で遊ぶのを止めてしまった。私たちはおもちゃ屋さんを後にした。

 

家に帰る道中、私は自閉症の男の子とその妹であろう女の子について考えていた。あの女の子は、生まれた時から「自閉症の兄の妹」という立場で育ってきたのだろう。だから、「まるで母親のように」その子と接していた。自分のことばかり考えたい年齢だろうが、兄のことが優先で、兄を支えることが家族全体の役割、ひいては自分の役割と認識して育ってきたのだろう。だから、異常なまでにしっかりと育ったのだ。

それ自体に良いとか悪いとかはない。それはその家庭の話なので、私が何か口を出すことでもない。でも、あの兄弟は今後どのように育つのか、あの女の子はどんな想いで日々を過ごしているのか、自分はどのように接するのが正解だったのかを想像すると、なんだかやるせないというか、複雑な気持ちになるのだ。