子供の頃、毎日は輝いていた。
大人になるとその輝きは失われ、毎日が灰色になった。
いつからだろう、私が大人になったのは。
著者紹介
作家、詩人
概要
「子供から大人になるとは」をテーマにした詩を約30編収録した詩集
感想
私の好きな元欅坂46の長濱ねるが帯で紹介文を書いているということで購入した本。
普段詩なんか一切読まないので、意味が分かるか不安だったが、一編一編は短く、簡単な言葉で書かれているのでとても読みやすかった。また、「子供から大人になるとは」をテーマとして扱っていることもあり、自分の幼少期を思い返し、とても親近感を抱きながら読み進めることもできた。
読み終わると、タイトルにもある通りまるで深呼吸したような気持ちになった。
子供から大人への境目はどこにあるのだろうか。
忙しい毎日の中でふと立ち止まり、自分はどこまで来たのだろうかと振り返る。
はるか遠くには、些細なことにも楽しみを見出していた幼少期の自分がいる。
子供の頃は、毎日が新しくて楽しくて輝いていた。
色々なものに「なぜ」と疑問を抱き、冒険をした。
自分の影や鉄棒、道端の石ころにも大きな魅力を感じた。
何か一つでも面白そうなものがあれば。無限の世界が広がった。
あの頃と比べると、今の自分は何ともつまらない人間になってしまったのかもしれない。
そうだろう。それが大人になるということだ。
世の中の道理を知り、想い通りにならないことを知り、自分の限界を知り、社会に順応していく。それが大人になるということだ。
それは確かに悲しいことだ。でも必要なことでもある。いつまでも子供のままではいられないのだ。
あの頃の自分と、今の自分は確かに違う。
そうだとしても、ここまで来たのは自分以外の何者でもない。
他の誰でもない、自分自身だ。
だからこれからも、そんな自分で生きていくしかないのだ。
少し人生に疲れた時、嫌なことがあって心が荒んでいるときに読むと、心が洗われるよだろう。
落ち込んだ気持ちに寄り添い、一緒に空を見上げて深呼吸をし、そっと背中を押してくれるような一冊だ。
ピックアップ
大事なのは、自分は何者なのかではなく、何者でないかだ。急がないこと。手を使って仕事すること。そして、日々のたのしみを、一本の自分の木と共にすること。