音楽のない世界
音楽が好きだ。
アーティストでいうと、水樹奈々の追っかけを15年やっている。他には、ずっと真夜中で良いのにやMrs. Green Appleなど、新しいけど確実に実力がある人たちも好きだ。他には、haruka nakamuraやyutaka hirasakaなどの、ピアノやアコースティックギターなんかを中心としたアンビエントに近い音楽なんかもよく聴く。
しかし、最近はあまり聴いていない。
基本的に音楽は通勤中に聴くことが多い。外に出ると、すぐにイヤホンを装着してスマホとつなげ、適当な音楽を流す。一連の動作がもはや無意識と呼べるほど定着していた。そこには明確に「これを聴きたい」という意思はなく、ただ漫然とした習慣でしかなかった。そのため、すぐに音楽に飽きてしまい、YouTubeで動画を見始めるという悪い習慣が起こりやすくなってしまっていた。
漫然と動画を見ることほど悪い習慣はない。
通勤中は本を読んだりして有意義に時間を使いたい。その真逆が無目的にYouTubeを観ることであるならば、そこに至るきっかけをなくす必要がある。だから、明確に聴きたいと思わない限りは、音楽を聴かないように心掛けている。
音楽を聴かないと、良いこともある。
周囲の様子に気が付くのだ。例えば今日は天気が良いとか、かっこいい車が走っているとか、河原で大学生たちが部活動に励んでいるとか。そういった何気ない様子が目に入るようになる。イヤホンで耳をふさぎ、音楽を受信し続ける状態では、クリーンな頭で何かを考えることはできない。どうしても音楽に引っ張られる。あえてイヤホンを外すことで、外で起きている事柄に敏感になれる。
それがいいか悪いかは分からない。でも、ずっと耳をふさいで、周囲からある意味隔絶されるよりはよいのではないだろうか。その結果、悪い習慣もストップできるならなお良い。
音楽は素晴らしい。
でも、その良さを感じられずにただ漫然と聴くだけであれば、いっそのこと距離を置くのも手だと思う。この文章も、音楽を聴かずに書いている。窓の外では鳥が鳴いている。自分がキーボードを叩く音が心地よい。音楽がなくっても、私たちの世界は音に満ちている。