【読書記録】原始仏典 / 中村元
仏教って難しそう・・・。
そんなことを思った方にお勧めの一冊。
原始仏教に興味を持ったら、とりあえず一回読んでみるべき。
著者紹介
仏教学者、哲学者
概要
約2,500年前に誕生した仏教。その最初期の経典に収められている釈迦(仏陀)の言葉を分かりやすく解説した本。
感想
原始仏教に興味を持つと、解説書だけでなく原点である『スッタニパータ』や『ダンマパダ』などに手を出したくなるが、正直ハードルが高くて躊躇してしまう。そんなときにまず入口で全体の解説とポイントを教えてくれるのが本書。
著者の中村さんが仏教学の中ではかなり有名な方とのことで、解説書としてのレベルは間違いない。しかも、書かれている文章が分かりやすく親しみやすい。各教典の中身は当然仏教の原点ということで学ぶことが多い。そこに著者の解釈や補足が乗るので、敷居の高いと思っていた原始仏教への心理的ハードルが下がり、仏陀の言葉をより身近なものとして受け取ることができる。
私は過去に紹介した『だから仏教は面白い!』や『仏教思想のゼロポイント』から本書に移ってきた。上述の二冊では学びきれなかったポイントや、仏教そのものへの理解が深まるので、仏教というものへの興味や、日常生活へのインストール方法などが学べ、より仏教を深く、多面的に理解できるようになったと思う。
本書を読むと、今度こそは減点に挑んでみたくなる。原点はやはりそれなりの難易度になるのだが、本書で大枠を掴んでからであれば、そこまで大きな苦労なく読めるようになるのではないかと思う、
以上から、個人的には振り返って何回でも読みたくなる本だし、仏教について学ぶ上で避けては通れない一冊だと思っている。
ピックアップ
人生にはどうにもならないことだってあるわけです。その場合に、ゆとりをもって反省してみるならば、確かに苦しみは苦しみとして受け取られながら、しかもそれを超えることができる。悩みは悩みとして受け取られながら、しかも悩みに生かされるということになるわけです。所詮、苦悩のない人生はないのですし、その苦悩に直面して、それを超えて喜びをもって生きていく道がここに示されている。それこそは釈尊の最も説きたかったことなのだろうと思います。